やっぱりそうだよな。
なんとも思ってねえやつと、男同士で喧嘩なんかしねえんだよな。
「弓木、わざとでしょ」
そんでもって、そういう喧嘩は第3者が1番理解してる。
「幸大が怒んのなんてレアすぎるからな」
「……は?」
「弓木はお前が怒ってんのを面白がって煽ってんだよ」
「え、は?どういうことだよ」
俺は、ケツポケットから取り出したものを幸大の手を掴んで握らせる。
「ほら、これで落ち着け。悪かったよ」
訳が分からないと言った顔で自分の手のひらを見下ろす幸大。
みるみる顔を真っ赤にする。
ウケんなぁこいつ。
「童貞は気が短くて困んだよなぁ。餞別だ餞別」
わなわなと身体を震わせ、俺を睨む幸大。
「何?…ああ。」
七種が幸大の手のひらを覗き込み、苦笑いする。
「お前、体調悪いとか嘘だろ……こんなもんケツポケットから出すっつーことは、近々でお盛んだったってことだろ!?」
渡したのはコンドームだ。
常備してる。
女のおの字も感じさせない小道具だ。
「お盛んって。乙女か」
「え〜なになに?灯織彼女できたの?」
「げ」
女が寄ってきた。
面倒臭いな色々。
「ちょ、今、げって言ったぁ?傷付くなぁ」
「便所」
「ちょっとぉ、灯織ぃ!」

