「兄貴」
慎矢の声にこちらを振り向く。
俺は慎矢の後ろに隠れて、ひょこっと顔を出してみる。
無表情だけど、明らかに固まる柊吾。
柊吾の前まで歩いて、クルンッとターンして見せれば、まだ固まってる。
「驚いた?」
ポケットに手を入れたまま、俺を見下ろす柊吾。
「……なんの、悪ふざけ」
「いやー、この格好のまんま来てみたら柊吾の緊張が解れるかな〜と思ったんだけど」
「…理解が追いつかない」
片手で頭を抱える柊吾。
「あ、考えること増やした感じか?それは悪い」
「一緒に来るとか言うから、もっと真面目な顔してくるかと思ったのに。凄いテンション高いね」
窓の近くの椅子に座る。
「シン、ゼン、そこ座って」
前に俺が座ったソファに慎矢と皇を促す柊吾。
「呼んだのに、悪いけど、まずこっち片付けるね」
ダルそうに俺を見る柊吾。
「同級生とか言わないよね」
あ、そうだ。
「え、あ、そこ?」
「……言ったよね、俺は、中学生とか流石に手出さないって話。言っとくけど、高校生にも出すつもりない」
「あー、21っつったの、信じてたんだ」
完全に頭を抱える柊吾。

