校則が緩めで、しかも有名大学への進学率も高いため、倍率の高い人気校。



「あ〜!灯織じゃん!おはよぉ」


「今日は人助けはなし?」


後ろから来たのは、同じクラスの女たち。

好き勝手に腕を絡ませたり、服を引っ張ったり。


「触んな」


腕を引き剥がす。


「え〜いいじゃーん。減るもんじゃないし」


「減る。」


「あはっ、今日も通常運転で冷たいね」



訳わかんねえ。

俺は別にすげえ高身長なわけでもなければ、ガタイがいいわけでもない。

当たり前だ。男じゃねえんだから。

顔も特別良いわけじゃない。

それに加え、こいつらに思わせぶりな態度をとったこともない。



「まーた、意味分かんねえって顔してる〜」


俺の顔を見て、クスクス笑う2人。


ダメだ、こんなん何回考えたって分かんねえし、分かったところでどうともならねえ。


こいつらは俺に絡んで、何らかの形で悦を得てる。ただそれだけだ。俺には関係ねえ。


「あ!灯織くんだ!おはよ〜」


校舎に入っても、挨拶をしてくる。


「はよ」


適当に返す。


「灯織、挨拶してくる女子、皆の名前覚えてるんでしょ?」


「え、そうなのぉ?」


相も変わらず、俺の腕を掴む2人。