鼓動が、自分の鼓膜を揺らしている。
脈が速くなる。
今度は俺が震える番。
冷静に、なれ。
片手で心臓のあたりを掴む。
……この感覚は知らない。
今まで経験したことがない。
でも、不思議と、怖くはない。
ただただ、丞さんが触れている場所が熱い。
「なあ」
「ん?」
丞さんを恐る恐る見上げる。
「すげえ、俺の心臓の音、うるせえ」
甘えて、いいんだろ。
馬鹿みたいな、疑問。
俺より大人なら、分かるんだろ。
丞さんは、そんな俺を見て驚いている。
そして、はぁ、とため息をつく。
「……俺今、誓ったばっかりなんだけど」
「は…?」
そう言いながら、俺の手を掴んで、丞さんの心臓のあたりを触らされる。
感じる心音は、俺と同じように速くて。
「人のことを恋愛の意味で、好きだって思った時、人は心臓が速くなるもんなんですよ。灯織さん」
眉を八の字にして、目を細める丞さん。
す、き……
「え……」
「キス、嫌じゃなかった?」
そう聞かれて、何か、腹の底がむず痒くて。
嫌悪はなくて、ただただ気持ちが良くて。
これが、もし、好きということならば。
そう考えた瞬間、ブワッと身体中の血が沸騰したように頭に集中した。

