甘く、吐息の混じった声が俺の鼓膜を震わせる。

ピクピクと背筋が伸びる感じがする。


「……ねえ、俺じゃ嫌…?」


耳がくすぐったくて、肩を竦めてくすぐられる方の耳を手で覆う。

丞さんは両手を腰に回して、少し俺から顔を離して俺の顔を見る。


「ん…?」


「……くすぐったい」


若干目が潤む。

眉を八の字にして丞さんを見れば、数秒固まって、片手で口元を覆って下を向く。

そしてこちらをゆっくり、睨みあげるように見て、



「そういうの、


" 誘ってる "って言うの知ってる?」


聞いたことの無い低い声。鋭い目。

心臓がドクンッと大きく波打った。


「甘えてとは言ったけど、誘ってとは言ってない」


「…は?意味わかん」


言葉をわたる様に腕を引かれ、路地裏に入って、いとも簡単に頭を両手で固定されて、丞さんとの距離がゼロになった。


「んっ」


丞さんの熱い唇が、舌が、目が、手が、俺の事を逃がさないと言っているようで。


「んんっ……たすく、さ」


酷く甘い声が漏れて、耳を塞ぎたくなる。

背筋がピクピクと伸びる感覚が、何度も訪れる。


な、んだ、これ


頭、真っ白に……


思考が追いつかなくなった時、丞さんの手が俺の耳の後ろをすり、と撫でた。

その瞬間、ビリッと電気が走ったような感覚に襲われて、



「んっ、あ、んっん」


カクンッと脚の力が抜けた。