丞さんは、あたしの頭をゆっくり撫でる。


「……きっと、灯織が見ていないところで、環にも逃げ場所があったと思うよ。耐えてばかりじゃ人は壊れる。」


……そ、っか。

勝手に、環が凄いやつだと思って……

『灯織は、勝手に強い人だと思ってた』


……何となく理解した気がする。



「誰でもいい。甘える先が、環だったんだろ?それが出来なくなった今、灯織には甘えられる人はいるの?」



環がいないと、俺という箱みたいなものが簡単にひび割れていって、環に甘えることで修復してた。


けど、甘える先がなくなって、ボロボロ崩れて、それをクラスのやつらがどうにか崩れないように支えてくれてて。


それに気付かず、時間に追われた俺は、自分自身の状態に目を瞑って突き進んで。


壊れるのも、時間の問題なのかと今気付く。


手が勝手に、丞さんを抱きしめ返そうとする。


その手を握りしめ、抱き返すのを躊躇う。

丞さんは、俺の頼みで付き合ってくれたのに、これ以上迷惑かけていいのか?


いい訳がない。俺のワガママに付き合ってもらったのに、これ以上


「いいんだよ、灯織」


ピクッと体が震える。


「俺、これでも大人だから、女の子一人ぐらい、迷惑かけられたって痛くも痒くもない。灯織なら大歓迎。こんなに可愛い灯織を、ぐちゃぐちゃに甘やかしたい」