「柊吾さんに会いに来た。どんな人かなって。そしたら、ひと目で分かった。」



「俺には、その話し方なんだ」


気に食わない。

弟と違うことが気に食わない。


俺は柊吾さんに近付いて、セットアップのジャケットの襟元を直すように触る。


「あなたが醜いと思っている自分をさらけ出してくれたら、私も応えますけど。なーんて、上から目線に聞こえちゃいますよね、すみません。今日はありがとうございました。とても楽しかったです。」



ぺこりと頭を下げて、丞さんの腕に自分の腕を絡ませる。


「さんきゅーね、柊吾。あと、慎矢くんも。女の子殴っちゃダメだよ〜」


間延びした声だけど、結構怒ってるな。


柊吾さんは、外までお見送りをしてくれた。


柊吾さんが見えなくなったあたりで、丞さんから手を離す。


「良かったの…?柊吾より、慎矢って奴と話してたけど。目的は達成出来たの?」


「襟を直すフリして連絡先胸ポケットに入れてきた」


「うわ、やり手」


「ま、あの様子だと連絡来んだろ」


手を組んで上に伸びをする。



「殴られるのも蹴られるのも、首締められるのも慣れてる、か。学校でそんな事されてるの?」


優しくない声色。


「普通はそうやって怒るんだよ。有り得ないって。」