「今のうちに色んなものを清算して、兄貴のレベルまで達しないことをオススメするよ。つか、させるつもりないし。」
地声に戻す。
「ま、んなとこかな。今日お前に会うつもりなんざなかったし、当分お前のことは皇に頼んでおいたんだけど、会っちゃったもんは仕方ないよな。」
「はあ…?漸?」
「よし。丞さん、私失礼しようかなそろそろ。」
「え…?ああ」
カバンを取って、丞さんの元に歩く。
「ごめんね、ちょっと話し出したら止まらなくて」
オクターブ上の声で、柔らかく話す。
「それは別にいいよ。君があんなに話してるの、初めて見たし圧倒された」
はは、と苦笑いする丞さん。
「それより、頬。早く冷やさないと」
「そうだね。下でまた氷借りてくる。どうする?丞さんはまだここにいる?」
「ううん。今日は君の頼みでここに連れてきたから、柊吾はまた飲みに誘うことにするよ」
柊吾の方をチラッと見れば、慎矢へ向けられていた視線が、すぅっと俺の方に移動してきた。
「すみません、せっかくの楽しい雰囲気を私壊してしまって。」
「君は結局、俺になんの用だったの」
無機質な声。
諦めて、何もかもどうでもいい、そんな声。
でもそれもまた、自分を守ろうとしている表れ。

