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高校入学を期に、耀介に指定されたマンションに住んでいる。
それまでは孤児院で生活し、中学はろくに通わず、卒業できる条件を踏んで卒業した。
翔凰に入るのは、耀介よりもっと上の人間が操作し、男として入学できた。
というか、その上の人間の指示を耀介から聞いただけ。
いわゆる、耀介の家も金持ちだ。
院長は、孤児院だけを経営しているわけじゃない。
スニーカーを履き、家を出る。
ゴミ捨て場に指定ゴミを捨てれば、
「あら、弓木くんおはよう」
近所の60代ぐらいの女。
「はよ」
「あ!弓木くんじゃないの!」
同じようなばあさんが周りに集まる。
「囲むな」
「これから学校?」
分かりきっていることを聞くのが、近所のジジイババアの日課なのかもしれない。
「ああ」
「そう。きっと弓木くんは学校でも人気者なんでしょう?」
昨日、耀介も似たようなこと言ってたな。
人気者って、それ、いい事なのか。
「さあな。」
「ふふふ、弓木くんは優しいものね」
「この間、うちの庭の掃除を手伝ってくれたのよ。あの時はありがとうね」
2階のベランダに置いてあったらしい花瓶を落とし、派手に玄関前を散らかした、あの時のばあさんか。

