「すみません、俺お手洗いに」


「あー俺も行こうかな」


かなり、酒が進んだ二人は同時に出ていく。


緊張が解けないのは俺だけか。

まあ、それにしても、金持ちも暇じゃねえな。


さっきからずっとパソコンとにらめっこしてる慎矢。


こんだけ色々詰め込んでれば、女遊びしたくなるか。

息抜きの仕方変えた方がいいと思うけどな。



「何」


こちらを振り返らずに、そう問いかけてくる慎矢。



「いーや」


地声で答えれば、ゆっくり、恐る恐るこちらを振り返る慎矢。

足を組んで、ジンジャエールの入ったグラスを見下ろす。



そのタイミングで2人が帰ってくる。



「ん?話してたの?」


丞さんが振り向いている慎矢を見てから、俺を見る。


「凄いなぁって眺めてたら、何って言われたから、いーやって答えた、ただそれだけ」


嘘は言ってない。


「ね」


ニコッと笑えば、言葉を失う慎矢。


ん?と小首を傾げれば、バッと勢いよく立ち上がり、近寄ってきて俺の右太ももの隣に左の膝を立ててガッと片手で首を掴む慎矢。


全部勢い良すぎて、首コキって音したわ。

……手が、震えてる。


「おい」


丞さんが低く唸る。

けど俺が片手を上げて制止する。


「何か、気に触った事をしたなら謝るよ。」