丞さんは直ぐに戻ってきて、
「丞さん、もし宜しければVIPルームに。久しぶりに俺とも飲みましょう」
丞さんは俺を見て
「どうする?」
俺に選択させる。
「VIPってどんなとこか気になる」
これは、本気の興味。
バレてんなら楽しんだ方がいい。
「はは、目キラキラ」
入口にあるstaff onlyの扉を開けて、すぐの螺旋階段を上がれば、廊下を挟んで2つの扉がある。
片方の扉の認証を解いて中に入る。
そこには、複数のパソコンを眺めてゲーミングチェアに体育座りする男と、デカい透明のローテーブルに、皮のソファ。
クラブを見渡せるデカい窓の前には椅子と丸いテーブル。
情報量。
「シン、俺の先輩、挨拶しろ」
その名前に思考が停止する。
嘘だろ。
そこに居る、複数のパソコンで株を眺めてるその男。
シン、て。
クルッとこちらに椅子を回して、立ち上がり、こちらをあまり見ずにペコっと軽々頭を下げる。
「どうも。弟の慎矢です」
なんだ、この、拾われてきた猫みたいな大人しさは。
「おー、慎矢くんね。俺は真壁丞です。よろしくね。あ、この子俺の連れのミキね」
柿谷慎矢は、ふっと顔を上げ丞さんを見て、こちらに視線を動かす。
ふわっと笑って
「ミキです」
気付くな。
目を凝らすな!!!

