嫌いだ


全部
全部
全部


「あらら、暴れてんね」


腰に手を当てて、首を傾げ、こちらを見るその男。


それを俺は睨みつける。


「人、というには信じ難い」


顎に手を当て、ふむふむと頷く男は制服姿。

近所の高校生か。


「君、ウチに来て人らしく生きてみない?」


頭が割れそうだ。

気持ち悪い
気持ち悪い
気持ち悪い



「人らしく…?人らしくって?悪いけど、俺には分からないなァ。だって小学生だし」


その男は俺の腕を掴む。

俺は男の力には勝てない。

どうせこいつも、同じだ。


「あれ?抗わないんだ、小学生」


「力で勝てるわけないだろ。それとも、小学生に負けるほどひ弱なのか?アンタ」



ハッ、と鼻で笑えば、キョトンとした顔で俺を見て、ニッと爽やかに笑う男。



真っ暗で埃まみれのその牢獄のような部屋から、その男はあの日俺を連れ出した。



どうせ


そう何もかも諦めた俺の手を、楽しげに引き続ける。


ああ、俺はまたとち狂った人間に拾われるのだ。



とち狂った、……



「さ、どうぞ」



男……



「おかえりー!」



開かれた扉の向こうには、



「あれ?新しいお友達かな!」



子供が、うじゃうじゃと湧いて出てきた。