支度を終えるとダイニングにいる母親に声をかけて玄関に行く
マンションなので1つの廊下しかないから
結構生活音は聞こえてるはずなんだけど
玲夏の部屋からは物音がしない
もう一度だけノックをして行くかと
部屋の前に行くとバタン!とドアが開いた
「痛ってーー」
「あっ、ごめーん、直月くん!大丈夫?」
僕の返事も聞かずにダイニングに走っていったのは同居人で幼なじみの玲夏
全く……
おでこをさすりながら直月は玄関から出ていった
「おはようございます!」
「玲夏、おはよう」
「いただきます!」
用意された朝食を急いで食べる
玲夏がリビングダイニングにやってくると1匹の猫が寄ってきた
「おはよう、ロコ!帰ってきたら遊ぼうね〜」
にゃーと玲夏の足にまとわりつく
蓮見家には2匹の猫がいる
名前はロコとモコ
ロコの方は何故か蓮見家の人間より玲夏になついている
「どう?玲夏、新しい高等部のクラスは」
玲夏と直月の通う野いちご学園は初等部から大学までいける私立の学園だ
直月は2年で玲夏は1年
高等部の国際科を選択した玲夏のクラスは外部入学もたくさんいるのだ
高等部には特進科、国際科、スポーツ科がある特色科と呼ばれる科と普通科がある
校舎が違うから普通科に行った友達とはクラスが分かれてしまったけど玲夏は持ち前の明るさですぐに馴染んでいた
食べ終えるとソファでロコを抱っこする
あっ、また制服で抱いちゃった
コロコロしなきゃ、直月くんに言われちゃう
「あれ?直月くんは?」
「もう、とっくに出たわよ」
「え?」
じゃあ、さっきぶつかった時に出たのか
「今日は当番だし歩いて行くからって」
「はーい」
当番か……ネクタイどうしよ
玲夏も制服をコロコロして支度をして学校に自転車で向かった