「ユリの“憂”って、
おしとやかとか、そういう意味もあるんだって。
たしかに、“憂鬱”が一番最初に浮かんで、最初はいい印象を与えられないかもしんないけど…」
そこまで言った紫央くんは、急に学校のカバンからノートを取り出して
私の、“憂”という字を書く。
そしたら
「ここに“人”が寄り添ったら、
“優”しい子になる。
今までたくさん、憂莉自身を見てもらえなくて、人と寄り添えたことがないのかもしれないけど、
俺は憂莉が優しい子だってわかってる。
だから、俺はいい名前だと思うけどな。
憂莉を優しくできる“人”ってのが、俺でありたいなって思うよ」
ノートに書かれた“優”の字を見て
紫央くんが真っ直ぐ私を見つめてくれて
涙が溢れそうになった。