土曜日。


玄関の前にある姿見で服を確認しながらくるりと一周まわった。



(変じゃない…と思う!)



似合う似合わないはさておき、一番かわいい服を選んだから問題ないはず。



下駄箱の前に座ってブーツを履いていると


後ろから足音が近付いてきた。




「本当にそれで行くの?」



「……うん」



「まぁいいけど。
途中で変な人に絡まれないように気をつけなね?」



「大丈夫だよ。
行ってきます」




私よりも約束の時間が遅いらしい笑莉は、『行ってらっしゃい』と私を見送ってくれた。



……こういうところは、ちゃんと家族なんだよね。


比べられるのが嫌って思ってるのは私だけで、笑莉は私に対してなにも思ってない。



私だけが、ずっと笑莉にコンプレックスを抱えてる。