「今から笑莉に、絶対負けないよって言うつもりだったのに…」



「大丈夫。全然勝負する気ない」



「……なんだぁ…」




笑莉になんて言われるかとか、今後なんかされるのかとか…構えてたのに。



拍子抜け…



でも、よかった…。




「……憂莉、前より感情豊かになったよね」



「え?」



「睦月くんのおかげなんだろうけど。
……でも、もう憂莉があたしを必要としてないみたいで…ちょっと寂しい」




笑莉が私の頭を撫でる。



どんなに嫌いだって思っても、心の底からは嫌いになれない…私の、たった一人のお姉ちゃん。




「必要ないなんて思ってないよ」



「憂莉…」



「あっ。

……今度、紫央くんにドキッとしてもらえるような服とかメイクとか、教えて?」




後半は紫央くんに聞こえないようにこっそり言った。


そしたら笑莉は




「うん。お姉ちゃんに任せといて!」




泣きそうに、でも嬉しそうに笑った。