「今回はさすがに、あたしの学校の友達もいるし、違う制服ってバレる。
そうなったら憂莉だろって疑われちゃう」
「……上手く、できるかな…」
「大丈夫。
言ったでしょ?一人じゃないって」
「それって…」
誰?って聞こうとしたけど、
笑莉は『大丈夫』って言うだけだった。
────…
「『遅れて行く』って言ったから、
用事で遅くなった感じで入っていくのよ?」
「わ、わかった…!」
306号室の近くまで来て、
自然に会話できるように、笑莉が友達の特徴とかも教えてくれた。
「憂莉……頑張って」
「? ……う、うん」
トン、と背中を押されて、306号室のドアの前に立つ。
……『頑張って』って、大悟くんと話し合うこと?
ううん、なんか、そんな雰囲気じゃなかったような気がする。