……わざわざそんなこと、本人目の前にして言わなくていいじゃんか。
上手く会話できないこと、気にしてるのに…。
じわ…と涙腺にきて、溢れないようにぐいっと目を擦った。
「ユリ、おまたせ」
「……紫央、くんっ」
危ない。目擦ったの、見られてないよね?
「さっき自転車とりに行ったらさぁ、
でっかいクモ付いててビビった」
「クモ…」
ははって笑った紫央くんは
いきなりグーにした手を私の目の前に出して
「そのクモ捕まえた!!」
って、いきなり手をパッて開くから
クモが出てくるのかと思ってびっくりして、
飛び退いたら盛大に尻もちをついてしまった。
「……あ、く、クモ…!どこ…!?」
服の中に入っちゃったのかと、ブレザーをパタパタさせたら
「ぶ……!!あははっ!!
ごめん、嘘だよ」
紫央くんがお腹を抱えて笑った。



