公爵の娘と墓守りの青年

それを見たイストは何も言えず、口をパクパクと動かすだけだった。
突っ込みたいのに、突っ込む言葉が出てこない。
そんな状態のイストを見て、ビアンは彼に近付いた。

「……お前の気持ちは分かるぞ、小僧。いつも俺も思っていることだからな」

前足をイストの足にポンと当てて、ビアンは慰めた。

「いざという時はどうするつもりなんですか」

「どうするって、その時はその時で考えるよ」

「それじゃあ、対処が遅くなるでしょう……」

呆れたような声を洩らし、イストは息を吐いた。額に手を当て、首を左右に振った。

「そう言うけどね、ただの墓守りが剣を持ってたらおかしいでしょ? だからシャベルなんだよ」

シャベルを持ち、自分の前に立ててカイは返した。

「……確かに墓守りが持っているとおかしいですけど、貴方はただの墓守りではなくて、本業は騎士でしょう? だから、持っていていいんです。剣は騎士の命なんですよ?」

イストは負けじとカイに言い返した。ここで言いくるめられたら、目の前の尊敬する彼の部下で、前世で騎士だった自分――ミシェイルが泣く。