公爵の娘と墓守りの青年

「もう遅いし、門まで送るよ、イスト君」

そう言って、カイはイストの肩を軽く叩いた。

「え? あ、はい。ありがとうございます」

頭を小さく下げ、イストは礼を言った。
頭を下げた時、カイが持つシャベルがイストは目に入った。

「カエティス隊長」

舗道を歩こうとしていたカイに後ろからイストは声を掛ける。

「ん? どうしたの?」

呼ばれて振り返り、カイは首を傾げた。

「……剣はどうしたのですか?」

「剣? 剣なら今は封じてるよ」

爽やかに笑い、明るい声でカイは答えた。

「どうしてですか?!」

夜だということを忘れて、イストは声を上げた。

「いや、どうしてと言われても……今はただの墓守りだしねぇ……」

イストの声に気圧され、カイは頬を掻いた。

「剣なしでここをどうやって守ってるんですか!?」

「だから、シャベルで。ね、ビアン」

同意を求めるようにカイはビアンを見た。
求められたビアンも少し間を置いて頷く。