公爵の娘と墓守りの青年

困ったようにカイは頬を掻いた。

「それほど、貴方の影響が強いのですよ。実際の出来事が物語の内容と違っても」

少し苦笑しながら、イストは返した。

「影響って、俺はここで墓守りをしているだけなんだけど……なぁ、ビアン」

ちらりとビアンを見て、カイは呟いた。

「いきなり俺に振るな。初めて会った時にも言ったが、俺はお前目当てでここに来たぞ」

「それはビアンがお腹を空かせて、たまたま居た俺を食べに来たんだろ?」

「……カエティス。お前、どれだけ前向きな考えをしているんだよ」

がっくりと項垂れ、ビアンは大きく息を吐いた。

「あはは、相変わらずですねー。カエティス隊長」

懐かしそうに目を細めて、イストは笑った。

「とにかく。ウェル様はともかく、目的は分かりませんが、トイウォース様も貴方を探していることを忘れないで下さいね。ここにもやって来るかもしれませんから」

「やって来ても相手はどうしようもないと思うけど、気を付けておくよ。ありがとう、イスト君」

穏やかに微笑み、カイは頷いた。
そして、カエティスの墓から離れ、イストに近付く。
きょとんとした表情をイストは浮かべ、カイを見た。