「あの、カイさん。その老人は頭から足の先まで黒い布を被った人ではなかったですか……?」
驚いた表情でリフィーアはカイに恐る恐る尋ねた。
リフィーアの言葉に驚いたように目を丸くしてカイは彼女を見た。
「その女の子、私です」
呟くように答えるリフィーアに、ウェルシール達は驚いてカイに目を向けた。
カイは静かにリフィーアを見ていた。
小さく息を吐き、カイは口を開いた。
「……うん。知ってるよ。生まれたばかりのリフィーアちゃんに会ったこともあるし、リフィーアちゃんがリゼル君とフィオナちゃんの墓に来ているのも見ていたから」
少し悲しげに微笑して、カイは頷いた。
「じゃあ、どうして、私に声を掛けなかったんですか?」
頷くカイにリフィーアは疑問の色を浮かべて彼を見上げる。
「何かの弾みで封印が解けたらいけないから。だから俺から会いにはいけなかったけど、リフィーアちゃんを守ることをリゼル君とフィオナちゃんに約束したからね」
「私やサイラードお兄様が覚えていなかったのも、その約束が理由ですか?」


