公爵の娘と墓守りの青年


「よく言うよ。もう塞がってるくせに。それにしても、君のお腹、固かったね。もう一回殴ってもいい?」

面白いものを見つけたと言いたげな、にんまりと笑みを浮かべ、エマイユはカイに近付く。

「ネレヴェーユ様とリフィーアちゃんも良い機会だから殴りませんか?」

「いや、それ、おかしくない? 良い機会って何が?!」

「あの、エマイユさん。私はカエティスを殴るより、その……触りたいです……」

顔を林檎のように真っ赤にして、ネレヴェーユは呟いた。

「え、ネリー……? それもちょっと違うと思うんだけど……」

「そうですか……。残念ですが、また機会があったら誘いますね、ネレヴェーユ様。リフィーアちゃんはどうする?」

「わ、私はいいですっ! カイさんを殴る理由がありませんし」

ぶんぶんと左右に頭を振り、リフィーアは断る。
それを見たカイがホッとした顔で、息を吐く。

「つまらないなぁー。またとない機会なのに。仕方ないなぁ」

本当につまらなそうに息を吐き、エマイユは諦めた。

「あ、あの、カイさん。少しだけ聞いてもいいですか?」

会話が終わったと感じたウェルシールがおずおずとカイに声を掛ける。

「ん? 何だい、ウェル君」