公爵の娘と墓守りの青年


「あの、俺、神の落とし子って名前じゃないんだけど……。それに貴方は何者ですか?」

男が言う『神の落とし子』という言葉に眉を寄せて、カエティスは不審な目を向ける。

「神の落とし子だから、神の落とし子と呼んだのだ、カエティス。ところで、お前は私が誰なのか分からないのか?」

少し意外そうに目を大きく見開き、男は腕を組む。
男の問いに、カエティスは静かに大きく頷く。

「……前にも思ったが、お前は何処か抜けているな、カエティス」

呆れたように頭を振り、男は溜め息を吐く。

「前にもって俺、会ったことがないんですけど」

「今の生ではな。前の生の時やその前の生でも何度も会ったことがあるが……。覚えてないのか?」

男の問いに再び、カエティスは大きく頷く。

「……やっぱり、お前は何処か抜けているな。また私のことを教えないといけないのか」

面倒臭そうに男は溜め息を吐く。

「――私はこの世界の神だ。名をラインディルという」

男――ラインディルの言葉にカエティスは息を飲んだ。

「……神? ネリーの、お父さん?」