公爵の娘と墓守りの青年


カエティスの行動にネレヴェーユは大きく目を見開いた。

「カエティス! お願い、やめて!」

「さっき、言ったよね。君を守るって。色々考えたけど、君を守る方法、これしか思い浮かばなかったんだ。ごめん」

泣きそうになっているネレヴェーユにカエティスは苦笑いをする。

「……先生、ごめんなさい。やっぱり約束、守れそうにないです……」

小さく小さく自分にしか聞こえないくらいの声で、カエティスは育ての母カリンに謝る。

「赤眼、今までありがとう。ネリー達の方に闇の力が行かないように頼んだよ」

地面に突き刺した育ての母愛用の剣に声を掛ける。
その言葉に応えるように赤眼の剣から赤いオーラがカエティスの手に触れる。

「ありがとう、赤眼」

目を潤ませているネレヴェーユにカエティスは目を向ける。

「ネリー、幸せに」

ネレヴェーユに柔らかく微笑み、カエティスは鴨頭草の剣を握り直す。

「……いや……カエティス、お願い、やめて……!」

首を振り、ネレヴェーユはカエティスの元へ駆け寄ろうとする。が、ミシェイルとレグラスがそれを止める。

『カエティス、やめろぉぉおおおお……!』

トイウォースの祖父の魂の叫びを無視して、カエティスは勢い良く鴨頭草の剣を自分の胸に突き刺した。