公爵の娘と墓守りの青年


「……だから、あんたには俺の身体は扱えないって、俺は言ったはずだけど」

飄々とした声が、うずくまるカエティスの口から洩れた。

『――っ!? カエティス! 何故、動くことが出来る?!』

「動くも何も俺の身体だから、動くに決まってるじゃないか。だから……」

ゆっくりと立ち上がり、カエティスは鞘から赤眼の剣を抜き、自分の前の地面に突き刺し、鴨頭草の剣も一緒に抜く。

『カエティスっ! 貴様、何をする気だ?!』

「カエティス……?」

訝しげな表情を浮かべ、ネレヴェーユ達はカエティスの行動を窺う。

「……ネリー、ごめん。トーイのお祖父さんの魂を離そうとしたんだけど、無理みたいだ」

力なく微笑み、カエティスは静かに恋人に告げる。

「ミシェイル、レグラス。ネリーを頼んだよ」

「カエティスっ!」

「隊長っ!」

『カエティス、やめろ……!』

カエティスが何をするのか分かったミシェイル達とトイウォースの祖父の魂が叫ぶ。

「――これで終わりだ」

鴨頭草の剣の切っ先を自分の胸に向け、カエティスは小さく呟く。