公爵の娘と墓守りの青年


横でトイウォースが小さく問う。その言葉に弾かれたようにクレハノールが婚約者と幼馴染みを見る。

「……亡者達なら簡単に解放出来るんだけどね……」

力なく頷き、カエティスは鴨頭草の剣の柄を強く握る。心なしか握る手が震えている。

「……待て。クレハの父上を動かしているのはまさか……」

震える声でトイウォースはカエティスの左右異なる色の目を見つめる。太陽の光で反射して親友の目が暗く悲しげに光る。

「……うん。君のお祖父さんだよ、トーイ」

「……何てことだ」

顔を手に埋め、トイウォースは大きく息を吐いた。

「だが、何故、クレハの父上を動かしているのが私の祖父だと分かる?」

「……あの闇の色は忘れることが出来ないよ、何があっても」

悲しみと苦しみ、憎しみがない交ぜになった表情を浮かべ、カエティスは告げる。

「隊長……」

事情を知っているミシェイルは眉を下げ、カエティスに声を掛ける。

「大丈夫だよ、ミシェイル。とにかく、ディオンを助けないと。トーイ達はそのままそこにいて」

そう言って、カエティスは一歩一歩と前に進む。

「――そこで止まれ、カエティス」

その時、初めてクレハノールの父親が声を発した。