呆れた顔でレグラスがカエティスを見る。
「入れてたけど、もう一度入れ直さないとねって話だよ」
様々な青い色で彩られた鴨頭草の剣を鞘のまま構える。
「そうじゃないと、勝てないよ」
真っ直ぐ前を見据え、カエティスは告げる。
カエティスの視線を辿り、ミシェイルとレグラスは前を見る。
見ると、山道の少し離れた位置に男が立っていた。その男の腕には少年が身じろぎしていた。
「た、隊長、あの方は……」
目を見開いたまま呟くミシェイルの言葉を遮り、トイウォースとクレハノールが緊迫した声を上げた。
「ディオンっ!」
「父上っ!」
少し離れた位置に立つ男と少年に近付こうと駆け寄るトイウォースとクレハノールの前にカエティスが立ち塞がる。
「カエティス、そこを退いてくれ」
慌てて立ち止まり、トイウォースが命じる。
「それは聞けない命令だね。罠だって分かってるでしょ」
「分かってる。それでもたった一人の弟を見殺しには出来ない」
「弟のように思ってる子がいるから、俺も気持ちは分かるけどね、それでも駄目だよ。もちろん、クレハも」
トイウォースと自分の間をすり抜けようとするクレハノールを見逃さず、カエティスは彼女に言う。


