公爵の娘と墓守りの青年


何の気を抜かないようにするのか意味が分からないと言いたげな顔で、ネレヴェーユは首を傾げる。

「話は変わって、ネリー。今から俺には敬語はなしね」

「えっ、でも……」

「あのね、俺達は恋人同士なんだよ、恋人同士。これからどんどん仲良くなる為にも敬語で話すのはなしだよ」

笑顔を浮かべながら、カエティスはネレヴェーユの手をそっと握る。
顔を真っ赤にしながら、ネレヴェーユは小さく頷く。
その様子に満足したように頷き、カエティスは笑う。

「……さて。何から話そうか」





陽が昇り、朝を迎えた。
冷たい空気と太陽の暖かい光の中、トイウォース率いるクウェール王国の兵士達、カエティスと自警団達は意を決した表情で亡者達が結界に閉じ込められている山へ向かう。
白んでいる空を見上げ、カエティスは先頭を歩く。隣にはいつもと同じく、ミシェイル達自警団の面々が歩く。
その後ろをクウェール王国の兵士達、少し離れた位置にトイウォース、クレハノール、ネレヴェーユがいる。

「……いよいよですね、隊長」

緊張した様子のミシェイルがカエティスに言う。

「そうだね、気合いを入れないとね」

「って、気合い入れてなかったのかよ」