公爵の娘と墓守りの青年


「よし、上手くいった……」

安堵の息を洩らし、カエティスは地面に座り込む。
結界を張れて安心したのか、不意に咳き込んだ。

「……ゴホッ」

口を手で押さえ、カエティスは何度も咳き込む。
手を口から離し、カエティスはそれを苦しげに見つめる。

「……頼むから、あと少し、もう少しだけ、もってくれ……」

手の平に付いた赤いものを見つめ、カエティスは苦しげに呼吸をしながら呟く。

「――っ?!」

呟いた時、草の中を歩く人の気配を感じ、カエティスは慌てて手の平に付いた赤いものを布で拭き、口を袖で拭う。
袖にうっすらと赤い色が付く。
ゆっくりと立ち上がり、こちらにやって来る人物を見る。
相手もカエティスに気付いたらしく、安堵したように駆けて来る。

「上手く結界張れたみたいだな、カエティス」

「……うん、そうだね」

こちらにやって来るミシェイルとレグラスに頷き、カエティスは笑みを零す。
カエティスの前に立ち、ミシェイルはふと彼の袖に視線を落とす。彼の袖にうっすらと赤い色が滲んでいる。

「……隊長、血を吐いたのですか?」