公爵の娘と墓守りの青年


ベルナートの私室に着き、扉を叩こうと手を上げた時、扉が開いた。

「あれ? カエティス君?」

びっくりして固まっているカエティスを、ベルナートは呆然と見る。

「ど、どうも。ただいま戻りました、お父さん」

目を丸くする育ての父に苦笑いを浮かべ、カエティスは挨拶をする。

「お帰り。もう王都での仕事は終わったのかい?」

穏やかに目を細め、ベルナートはカエティスを部屋に招き入れる。

「いえ……。まだ途中です。今日、戻ったのは亡者達がここに来るので、結界を街に張って迎え討つ為なんです」

「結界……? 誰が張るんだい?」

「俺です」

「何だって?!」

カエティスの言葉に、ベルナートは大きく見開いた。

「ちょっと待った。カエティス君が張るのかい? 君は確かに強い魔力を持ってる。カーテリーズも私もびっくりな魔力だよ。でも、君が小さい時に言ったはずだよ。緊急の時以外は魔力を使わないって」

「その緊急の時が今なんです。ここで亡者達を止めないと、この街はもちろん国が滅びます。だから、結界を張って迎え討たないとまた先生の時のように……」

苦い顔をして、カエティスは口ごもる。眉間に皺を寄せ、拳を握る。