公爵の娘と墓守りの青年


「まぁ、今回ばかりはしょうがないよな。司祭様にも納得してもらわないとな。ところで、カエティス。さっき何気に『鴨頭草の剣』を出したよな。もしかして本気だった?」

「……そうかもしれない。強制的に浄化する剣だから、使わないようにしてたんだけどね」

そっと二振りの剣の柄に触れ、カエティスは呟く。

「本気にもなるよなぁー。女神様のネレヴェーユちゃんという綺麗で優しい恋人が出来たんだしねー」

肘でカエティスを突き、ニヤニヤとレグラスは笑う。

「……君も恋人を作るといいよ。レグラス」

からかうレグラスを少しだけ睨み、カエティスは馬を連れて聖堂に向かう。

「あらら、怒っちゃった」

「そりゃあ怒るに決まってるだろ。俺も隊長だったら怒る。でもまだ良い怒り方だよ」

「何が?」

「本気で怒った隊長は物凄く怖いから」

顔を青ざめてミシェイルが告げると、レグラスもほんの少し血の気が引いた。





聖堂に着き、カエティスは手綱を地に刺さっている棒に繋げる。
そして、聖堂の中に入る。
懐かしい、荘厳な空気と暖かな光に水色と銀色の目を細め、カエティスは礼拝する部屋を過ぎ、ベルナートが居るはずの部屋へ向かう。