公爵の娘と墓守りの青年


「……泣くのは困るから、黙っておくよ」

泣く育ての父を思い浮かべたのか、カエティスは苦笑いを浮かべる。
とても優しいベルナートを泣かせたくない。

「まぁ、とにかく。とんでもない獣道のお陰で短縮は出来た。あの獣道をどうにか舗装出来ないだろうか」

隣で会話を交わすクレハノールとカエティスに小さく笑みを零し、目の前に見える街を見つめて、トイウォースは呟く。

「それはやめた方がいいよ。あそこは本当にとんでもない道で、特に洞窟は迷ったら最後、永遠に出られないから」

「……ちょっと待て。とんでもない道なら何故、私達を案内した?」

「時間がなかったからね。洞窟は松明は難しいけど、魔力で光を照らせば出られるよ。緊急じゃなかったら俺も案内しないよ、クレハ」

「……切り札みたいなものだな。カエティス、君はあの道をよく利用するのか?」

トイウォースの問いに、カエティスは頷く。

「子供の頃からよくね。尊敬する先生に教わった道だよ」

「そうか。君が通れるのなら、私も迷うことなく通れるな」

「どういう論理でそうなるかなぁ……」

競争心を燃やすトイウォースにカエティスは溜め息を吐いた。

「君とは友で好敵手、という関係だと楽しそうだからな。君も私をそう思ってくれると競争しやすい」