公爵の娘と墓守りの青年


「本当にまずいな。あの方向はウィンベルク公爵家が治める街だ。クレハやカエティス達には一番堪えるな」

顎に手を置き、トイウォースは考え込む。

「考える時間もないが、良い案もないな。追い掛ける側としては、相手より早く街に着かないことには被害が増える」

息を吐き、トイウォースは無言でカエティスを見つめる。

「カエティス……」

「隊長」

トイウォースと同じように考え込むカエティスに、心配そうにネレヴェーユとミシェイルが声を掛ける。

「……相手より早く街に着く方法があるよ」

俯いていたクレハノールは弾かれるように顔を勢い良く上げ、カエティスを見つめる。

「どんな方法だ?! カエティス!」

身を乗り上げて、クレハノールはじっとカエティスの珍しい目を見る。

「強行軍になるけど、今から行けば、馬で半日よりももっと早く着く裏道があるよ」

「カエティス、そんな道があったか?」

「地元でもあまり知らない道だからね。俺はよく利用してたけど。その道を行けば、早く着くよ。ただちょっと獣道だから馬の扱いが上手な人じゃないと難しいかな」

「馬に乗らない者達はどうするつもりだ?」