公爵の娘と墓守りの青年


「……良かった……」

安堵の息を洩らし、カエティスは穏やかに微笑む。

「カエティス……?」

カエティスの微笑む顔を見て、ネレヴェーユは不思議そうに首を傾げる。

「トーイ、クレハ。ネレヴェーユを頼んだよ。俺達は彼等を追い掛けるから」

近くまでやって来たトイウォースとクレハノールにそう告げて、カエティスは赤眼の剣を鞘に戻す。

「いや、私達も行くぞ、カエティス。ナウル!」

「は、はいっ!」

突然呼ばれたトイウォースの家臣ナウルは飛び上がる。

「王都のことを頼む。私達はカエティスと共に行く。これで終わらせる」

「ええっ?! ちょっと待って下さい! 私では陛下の代理は無理です!」

「大丈夫、大丈夫。この二ヶ月の間にしっかり鍛えたからな。代理を頼むぞ」

口の端を上げ、トイウォースは笑う。

「えっ、ちょっと何ですか、陛下。その含み笑いは!」

「こんな時の為に仕事を溜めておいた。しっかり仕事を終わらせておけよ。頼んだぞ。はっはっは」

笑いながら、トイウォースはクレハノールの肩を抱こうとする。が、クレハノールはそれを手で払い除け、すたすたと歩いていった。