公爵の娘と墓守りの青年


トイウォースは婚約者の剣の先を追うように目を動かす。
その先を見ると、亡者達の中に金の色が混ざった赤い髪があった。
舞踏のように無駄な動き一つなく、カエティスが次々に迫る亡者達を浄化していく。
群がる何十人もの亡者達を一気に浄化させていくカエティスをトイウォースは呆然と見る。
魔力が強いトイウォースでも浄化させるのは一度に五人が限度だ。それをカエティスは一気に何十人もの亡者達を浄化し、先へ進んでいく。
彼だけ、既に王都と他の街へ続く道を隔てる門を出ている。

「……カエティスの魔力は私以上、か」

トイウォースは呟き、辺りを見渡す。
気が付けば、自分達の周りには亡者達はいなかった。カエティスに追い立てられ、彼が立つ位置よりも奥に亡者達はいる。

「あっさり追い出したな。次から来ると思うか? カエティス」

「……来るだろうね。だからクレハ。俺達、間髪入れずに追撃してくるよ」

王都に共に来た自警団達が集まり、カエティスは休む間もなく追撃を開始する。

「カエティス、私も連れて行って下さいっ」

声を張り上げ、ネレヴェーユがカエティスの許へ駆けようとする。
その時だった。
まだ王都内に残っていたらしい亡者が一人、ネレヴェーユに手を伸ばそうとするのがカエティスの目に映った。

「ネレヴェーユ!」