話したくないのか、カエティスは城とは逆の方向へ歩いていった。
「……知りたくなかった、というなら、何故、君は戦う? カエティス」
歩くカエティスの後ろ姿を見つめ、トイウォースは呟いた。
その日の夜。
トイウォースは眉間に皺を作っていた。
「王子、どうした? 難しい顔をして」
隣に立つクレハノールが怪訝な顔をして、トイウォースの顔を覗き込む。
「クレハ、君はどう思う?」
「は? 何がだ」
「……カエティスは、何故、この場にいない?」
目の前を真っ直ぐに見据え、トイウォースは浄化の光を手から放つ。
「この襲撃を読んだのは彼だ。その彼が何故、この場にいない?」
「恐らく前線にいる」
剣を構え、クレハノールはぽつりと呟く。
「あいつは昔から何事も一番危ない場所で踏ん張る。あいつの育ての親そっくりだ」
「……前線。ここも前線だと私は思うのだが」
「私もそう思っていたが、どうやら違うようだ、王子」
口の端を上げ、クレハノールは笑う。そのまま、握っていた剣の切っ先を前に動かし、示す。


