公爵の娘と墓守りの青年


「……戦いを経験し、知っている目、だな」

ぼそりと小さくトイウォースは呟いた。

「知りたくなかったけどね、一生。そういうことだから、夜になる前にちょっと作戦立てた方がいいよ、トーイ」

そう言ってカエティスは立ち上がる。服に付いた埃を払い、城とは逆の方向を歩こうとする。

「そうだなって、おい。君は何処へ行くつもりだ?」

「何処って、見回りだよ。俺の仕事だし」

「……確かに君の仕事だが、話の流れからしたら、君も一緒に作戦を立てるのではないのか?」

「それこそ君の仕事でしょ。俺は君が動きやすいようにするだけだよ。君と俺が立つ場所を同じにするには、まず真逆の位置から始めないと」

そう告げて、カエティスは穏やかに笑う。
口をぽかんと開け、トイウォースは目を丸くする。

「……君には負けるな、カエティス。君のような人物が敵じゃなくて良かった。敵だったら相当やりにくい」

「いやいや、実はやりやすいよ。俺みたいなヤツは大切に思っている人を捕まえれば、その時点から無効化出来るよ。昔、やられた」

苦い顔をして、カエティスは呟く。

「へぇ、誰に?」

「とある国の王様。その話はいいから、俺は見回りに行ってくるよ」