公爵の娘と墓守りの青年


真っ赤な顔で微笑むネレヴェーユを呆然と見つめ、カエティスは何度も瞬きする。

「カエティス?」

何も言わないカエティスにネレヴェーユは不思議そうに首を傾げる。

「……ありがとう。俺を好きになってくれて」

悲しげに微笑み、カエティスは口を開いた。

「……でもね、俺は君の気持ちに応えられそうにないよ」

「どうしてですか?!」

「罪深い人間だから。人を、殺したことがある人間だから。これからも人を殺してしまうかもしれない。俺では君を幸せには出来ない」

胡座を掻いたまま、カエティスは笑う。泣きそうな、悲しげな表情で。

「……そんなことはありません。だって、私は、貴方の傍に居られるだけで幸せなのです。貴方が、存在してくれているだけで、幸せです」

花のように微笑み、ネレヴェーユはカエティスの手を握る。

「それに、人を殺したというのは何か理由があったのではありませんか? 貴方は優しい方だから、誰かの代わりに、誰かを守るために殺した。そうではありませんか?」

慈愛に満ちた眼差しで、ネレヴェーユはカエティスに問う。
ネレヴェーユの言葉に、カエティスは目を瞬かせる。