公爵の娘と墓守りの青年


「……そうしよう、うん」

考えがまとまり、カエティスはそのまま城門に向かい、門番をする兵士に事情を説明し、大きな門の横にある小さな通用口を開けてもらう。
城を出て、カエティスは王都へと続く道を歩く。その途中、気配を感じ、振り返った。
振り返ると、ネレヴェーユがカエティスの後を追い掛けて走ってくる。

「……うん? あれ、そんなに慌ててどうしたの?」

驚いたように目を見開き、カエティスは自分の前で立ち止まるネレヴェーユを見た。

「貴方が、城を出るのを見かけて、どうしたのかと思いまして……」

息を弾ませながら、ネレヴェーユは答えた。

「どうって、見回りだよ。城は結界に守られてて安全だから、王都を見回ろうかと思って。それより、女の子が一人で出歩いたら駄目だよ。何か起きたらでは遅いんだよ」

「ありがとうございます。私は大丈夫ですから」

花のように笑みを浮かべ、ネレヴェーユは礼を述べる。

「あのね、夜は色々と危ないんだよ。大丈夫と思ってた人が狼に変わったりとか、亡者達が襲ってきたりとか危ないんだよ」

「貴方も、狼に変わるのですか?」

「どうだろう? 自分自身のことがよく分かってないからね。でも、狼に変わったことはないよ」