公爵の娘と墓守りの青年


眉を寄せて、カエティスはディオンを見下ろす。
その横で、ミシェイルもカエティスとディオンを交互に見て、静かに会話を聞く。

「ううん。そんなことないよ、カエティス。だって、困ったお祖父様は十年前に亡くなって、魂となったお祖父様はカエティスに追い返されたって聞いたもん」

「……十年前……」

それだけを呟いて、カエティスは僅かに顔を曇らせた。

「あ、あの、魂って言ってましたけど、それって身体がないってことですよね? 今はどうしてるんですか?!」

ディオンは気付かなかったが、ミシェイルはカエティスのその表情の変化にすぐさま気付き、慌てて問い返した。

「え? 僕もよく分からないけど、多分、誰かの身体に乗り移ってると思う。二ヶ月前に父上の身体に乗り移ってたから……」

涙を堪えるディオンは俯き、ぎゅっと自分の手を握る。
その姿が昔の自分の姿にカエティスは見えた。

「……早く終わらせないといけないね、君のお父さんの為にも」

俯くディオンの頭を撫で、カエティスは小さく笑った。

「……ありがとう」

「その言葉を言うのはまだ早いよ、ディオン。ミシェイル、ディオンを城に連れて行ってあげて」