公爵の娘と墓守りの青年


「あれじゃないかな。クレハに怒られてるとかで、遅くなってるとか」

騎士の服装をしたカエティスは、同じく騎士の服装をしたミシェイルや他の自警団達に言う。

「それ、当たりなんじゃないの? 王様、クレハノールちゃんの尻に敷かれそうだもんなー」

水色の髪、銀色の目をした青年がカエティスとミシェイルの会話に入る。

「あれ、レグラス。カツラを外していいのかい?」

「今は部屋には俺達しかいないし、いいかなー? って思ってさ。カツラ、結構蒸れるんだよな」

爽やかに笑い、青年――レグラスは手に持つ黒いカツラを振り回す。

「……そ、そう。君がいいならいいけど。でも、そろそろトーイ達が来ちゃうよ」

扉に指差し、カエティスは告げた。
告げたと同時に二種類の足音が聞こえ、近付いて来る。

「え、ちょっ、それを早く言ってよ、カエティス」

レグラスはカツラを慌てて被る。そして、小さな鏡を取り出し、カツラを整える。

「よしっ、これでいいな。俺の髪、カエティスの髪より目立つから、繊細な心にヒビが入らないようにしないとな」

「……どの口が繊細な心って言ってるんだよ」