公爵の娘と墓守りの青年


トイウォース直属の騎士という職業になるため、明日は騎士の叙任式があるという。
が、現在の状況があまり良くないこともあり、簡略的になるらしい。

「……叙任式をする程の身分じゃないんだけどなぁ」

ぽつりとカエティスは呟いた。
クウェーヴィア城内の端にある古い石段に座り、膝に肘を置くカエティスは盛大な溜め息を吐く。

「何を言うんだ。君みたいな人が」

「へ? トーイ……どうしてここが分かったんだい?」

独り言のつもりが自分以外の声が返ってきた。

「私を嘗めないで欲しいな。私はここに何年住んでると思ってるんだ。君みたいな魔力をとっても抑えて歩いてますーな気配くらいすぐ分かる」

「……どんな気配だい、それ」

「あ、違うな。魔力をとっても抑えてますー、というよりはそんな気はないのに面倒事が寄ってきます、な気配だな、うん」

「俺の気配がそういう気配なら、確実に君の頼みも入ってるね」

いたずらっぽく笑み、カエティスが反撃する。
反撃されたトイウォースは一つ咳払いをした。

「と、ところで、君の経緯をちょっと調べさせてもらったよ。調べて思ったのだが、君は変わってるな」

「変わってるって、何処が変わってる?」

「……君、クウェールから隣の隣の国のアイサリス公国の騎士をしていただろう?」