公爵の娘と墓守りの青年


「お待たせ。やっぱり、城は広いね」

美しい少女を見つめる自警団達とはよそに、カエティスはトイウォースに話し掛ける。

「……感想はそこか。せめて、『両手に花だね、トーイ』くらいは言って欲しかったな」

「いや……俺が言う場合はけ……やっぱりいいや。言わないでおくよ」

剣と花だね、と言い掛けたカエティスはクレハノールの怖さを思い出し、言わないことにした。

「ところで、カエティス。状況はどうだった?」

「うん、大分落ち着いたよ。ただ、夜になるとまた活動するだろうね。昼間の時と比べものにならないくらいに」

困ったように肩を竦めて、カエティスは苦笑を浮かべる。

「……恐らくそうだろうな。いつもその状況だったからな」

息を小さく吐き、トイウォースは机に肘を置き、両手を組む。

「そこで、カエティス。君達、クレハノールが住む街の自警団に頼みたいことがある」

意志の強い光を宿した緑色の目が、真っ直ぐカエティスを見据える。

「――君達を私直属の騎士として、私に仕えて欲しい」

「へ?」

突然の言葉に、カエティスは目を見開いた。
ミシェイルや他の自警団達も面食らった顔で硬直している。