公爵の娘と墓守りの青年


先程、怒鳴ったナウルがまだこちらを見ている。
その彼の背後から、亡者がこちらにやって来るのが見えた。
カエティスはトイウォースとクレハノールの間を通り過ぎ、警戒している様子のナウルの横も風のようにすり抜ける。
ナウルに襲いかかろうとする亡者を、カエティスは鞘に収まったままの様々な青い色で彩られた剣で防ぎ、手をかざす。
その手から白い光を放ち、亡者を浄化させる。
その一連の動作を流れるようにこなすカエティスを、トイウォース達は呆然と見つめる。

「ん? 俺の顔に何か付いてる?」

「いや……慣れた動きだが、今まで何かしていたのか?」

鞘に収まった剣を腰に引っ掛け直すカエティスに、トイウォースは尋ねる。

「まぁ、一応、街で自警団をね。俺が帰った時にたくさん街にも彼等がいたからね。街には今はいないけど」

「いない? カエティス、どういうことだ?」

「自警団の皆で彼等を浄化していたんだよ。王都に着くまでの街も全部一緒にね。でも、街より王都の方が……」

「カエティス隊長、ちょっと来て下さーい」

大声がカエティスの言葉を遮った。

「あ、呼ばれちゃった。それじゃあ、俺、あっちに行くね」

爽やかに微笑み、カエティスは声が聞こえた方向へ走って行った。

「……気になるな。クレハ、私達も彼の後を追い掛けよう」