クレハノールの叫びに、トイウォースは背後を見た。
亡者がトイウォースに手を伸ばす。
避けようとするが、間に合わない。
「……ちっ」
小さく舌打ちし、トイウォースは自分の持つ魔力を解放しようとする。
その時、トイウォースの前に黒い影が立ち、亡者の手を弾き、白い光が輝く。
白い光が消えるとその場にいたはずの亡者が消えていた。
トイウォースは呆然と目の前を見つめる。
黒いマント、ところどころ金の色が混ざった赤い短い髪の青年の背中がある。
その背中が反対に回り、顔がこちらに向き、目が合う。
透き通った水のような水色の右目、意志の強い鋼のような銀色の左目というそれぞれ色の異なる珍しい目が、トイウォースを捉え、柔らかく微笑む。
「――間に合った。怪我はない?」
穏やかな声で、青年は尋ねる。
今の状況にそぐわない声音の青年に、トイウォースの思考が止まり、思わずそのまま頷いてしまった。
「良かった」
安堵の息を洩らし、青年はまた微笑む。
「おい! そこのお前! 陛下に対して無礼だぞ!」
トイウォースの元に慌てて駆け寄り、ナウルが青年を警戒して睨む。
「……えっ? 陛下? 王様って、もう少しお歳を召した方じゃなかった?」


