公爵の娘と墓守りの青年


「その女神のネレヴェーユ様は今、何をなさっているんだ?」

「大本を探して下さってるよ。ただ、闇が多くて、強すぎて思うように探せていない」

小さく息を吐き、トイウォースは空を見遣る。
まだ昼過ぎなのに、空は厚い雲に覆われていて暗い。

「困ったな。王子」

「本当にな」

お互い溜め息を吐き、辺りを見回す。
今のところ、亡者が王都の人々を襲ってはいない。が、いつ襲うか分からない。
分からないが、最悪の事態にならないよう、国王になったばかりのトイウォースは自ら王都を見て回っている。

「ところで、君はどうして王都に来たんだい?」

ふと、疑問に思ったことをトイウォースは尋ねる。

「行方不明になった父を探している。街のことは祖父に任せてな」

そう答え、クレハノールは少し背の高いトイウォースを見上げる。
見上げると、何かを待っているような目でこちらを見ている。
クレハノールは仕方なさそうに息を吐き、口を開いた。

「……ついでに、貴方の顔を見に来た。まさか城ではなく、都の中で会うとは思わなかったが」

「私はついでか。哀しいな、こんなに愛してるのに」