公爵の娘と墓守りの青年


「もう王子じゃなくて、国王なのだが……。それに君も先頭を平然と切る性格だろう」

苦笑して、トイウォースはクレハノールを見つめる。

「貴方と違って、我が公爵家は上が何事も先頭に、が常だ。後ろで震える気はない」

先頭を切って当たり前と言いたげな顔をして、クレハノールは辺りを見回す。
トイウォースの部下達も同じように辺りを警戒している。

「……君のところは凄いな。我が王家も見習った方がいいな。改善出来るよう、後で相談に乗って欲しい」

「この状況が終わってからな。それより、いつから王都もこの状況になった?」

「ちょうど半月前だよ。大本の私の祖父だった者が、私の父を殺し、私の身体を乗っ取ろうとしたのが最初だ。それからこの状況だ」

小さく息を洩らし、トイウォースはクレハノールを見つめる。

「クレハ、君の住む街や他の街はいつからこの状況が続いている?」

「……二ヶ月前くらいからだ。王都に行くまでに色々な街を見て来たが、奴等を抑える決定打がない」

「浄化の力を持つ者があまりに少ないからね。だが、相手は多い。多いし、何より闇が強すぎる。そんな状況で女神のネレヴェーユ様に全てを浄化して頂く訳にはいかないし、私もせいぜい一度に五人が限界だ」