公爵の娘と墓守りの青年


「そうすれば、第二のカエティスやカリン先生を作らなくて済む。何もしていないカエティス達に怯え、この森に追いやるような街の者達の意識を変えてやる」

拳を握り、クレハノールはカリンの墓に近付く。

「だから、カリン先生。カエティスを死なせないで。あいつが帰って来た時に、変わった街を見せたいんだ」

クレハノールの決意に、ベルナートは穏やかに微笑む。

「その目標、私にも何か手伝えることがあったら、いつでも言って。クレハちゃん」

「もちろん、そのつもりだ。司祭様。これからしっかり働いてもらうからな」

満面の笑みを浮かべ、クレハノールは胸を張った。
穏やかな風が、ベルナートとクレハノール。そして、街を出たカエティスとミシェイルの髪をこれからのことを応援するように優しく撫でた。





――それから、十年の歳月が流れる。


クレハノールは王都ルヴィアで眉を寄せていた。

「……何だ、この有り様は」

白銀に煌めく剣を右手に握り、目の前の光景を見て、呟く。