「クレハ……!」
「お前が帰って来るまで、私も鍛練を積んでおく。ちゃんと強くなって帰って来いよ。お前と勝負をするのが楽しみなんだからな」
「いや、だから、俺は勝負をしないって言ってるんだけど……」
「待ってるからな、カエティス」
カエティスの言葉を無視して、クレハノールもベルナートと共に見送る。
「……お願いだから、勝負は勘弁して」
と言ってみるが、クレハノールは却下した。
「……はぁ。それでは行って来ます」
何を言っても無理だと感じたカエティスは溜め息を吐き、ミシェイルと共に行くことにした。
帰って来た時、クレハノールが勝負のことを忘れていることを願いながら。
「……クレハちゃん。本当は一緒に行きたかったんじゃないかな?」
カエティスとミシェイルの後ろ姿を見つめ、ベルナートは隣で先程とは打って変わって静かに見送るクレハノールに尋ねる。
「行きたくないと言えば嘘になるが、私はカエティスと違う。私はウィンベルク公爵になる身だ。カエティスとは違うやり方で、大切な人達を守りたい。その為にはここで内から変えればいい」
静かに強い眼差しで、クレハノールは告げる。


